気配切り

女性職員

 今年の夏、我が家で流行した遊び「気配切り」。

 猛暑の中、仕事を終え、帰宅してからも家事等で忙しく、唯一子どもたちと遊べる時間は、就寝前の数十分だ。早く横になりたい気持ちを我慢し、子どもの遊びに付き合う時間。

 「気配切りやろう」

 部屋の電気をすべて消し、タオルで目を隠し、スポンジ製の刀を持つ。真っ暗な中、散らかっている物を踏まないよう、全神経を集中。聴覚、嗅覚を研ぎ澄まし、身を潜めている子どもの気配を感じ取る。一瞬移動した空気の流れを感じ、刀を振りおろす。「パシン‼」と体に当たる音がした。「ママ!すごい!何でわかったの!」と興奮する子ども。「集中すると、少しの音や空気の流れがわかるんだよ。何十年と培ったママの力だから。」と得意げに言うと「へぇ~ 何それ。」と軽く受け流す子ども。

 ヘトヘトで帰宅し、全力で遊びに付き合ったのにそっけない返事に増した疲労感。それでも、少しの時間でも楽しく遊べて良かったと思えることが明日の活力になるのだと思いながら、深い眠りにつきました。